2016年8月、藤田早苗さんからのお便り

 

報告 6、7月 (ロンドン、ジュネーブ、パリ、日本)
 
英国の藤田です。ご無沙汰しております。少し遅れてしまいましたが、6月の国連への出張などの報告をさせていただきます。ジュネーブ出張のためにカンパをお送りくださったみなさま、本当にありがとうございました。
             
6月13-17日まで国連人権理事会に行ってきました。年に3回開催される理事会ですが、表現の自由の議題は6月に行われるので、特別報告者のデビッド・ケイ氏はもちろん、ARTICLE19やその他多くの表現の自由に関する専門家が参加し、ケイ氏は本会議での報告に加え、複数のサイドイベントでも発言されました。私はそれらすべてに出席し、参加者ともネットワークを広げ、日本の問題も伝えてきました。
 
4月の日本への調査訪問について、ケイ氏は本会議での報告で少し触れられましたが、それに対して日本政府が答弁し「政府の説明が十分反映されていないので残念である。今後も話し合いを続けていきたい」と述べました。ご存知のように、最終報告書は来年の6月の会期で国連人権理事会に発表されますので、その報告書の準備の間、今後も情報提供を続けていく必要があります。
 
今回の理事会にはケイ氏の前任者であるフランク・ラ・ルー氏もサイドイベントのパネリストとして参加されていました。2013年の10月、英訳した秘密保護法案を送って、それに対して国連声明を発表してくれた方です。現在も日本について関心をもって、いろいろと質問してこられました。
ラ・ルー氏は現在パリのユネスコ勤務です。私はジュネーブの続きでパリに行き、そこでもお会いしました。ユネスコの「ジャーナリストの安全に関するプロジェクト」チームの方にも紹介いただき、日本のメディアの問題をお話ししてきました。
 
パリではパリ在住の日本人のグループの企画で、カフェで国連と日本の表現の自由に関するお話しをしてきました。記者数名を含む50人以上が参加され、赤旗新聞が記事にしました。
これに先立ち、ロンドンでも在英日本人対象に勉強会を開き4月の国連調査に関して報告しましたが、40人近くの参加がありました。パリでもロンドンでも皆さん日本の状況を憂いておられました。
 
続いて、6月末から7月の参院選の後までの3週間日本に一時帰国しました。4月の国連調査の際の一時帰国の時に、お声掛けいただきながら訪問できなかった富山と徳島に「選挙の前に」訪問、ということで帰ることにしました。富山、徳島に加え、大阪、横浜、東京、金沢、名古屋など各地で企画やカンパ集めをしていただき、各地の皆さんのご協力に感謝します。
 
今回は特に大学生に授業で話をすることを試み、市民運動に参加されている大学の先生方の紹介で、最終的には11の大学から招聘を受けて授業で日本の表現の自由に関する問題や改憲案の問題を話してきました。
特に富山ではメディアが授業にも取材に来られて地元のテレビニュースや新聞記事になりました。
合計1300人くらいの学生に話したことになりますが、授業のあと質問や感想で「日本のメディアだけ見ていてはいけないと分かった」という感想が多くありました。今後も学生など若い層に、日本の問題に気づいてもらう機会を増やしていきたいと思います。

                                                                                      2016年8月 20日  藤田早苗