認定NPO法人 ヒューマンライツ・ナウは、17/6/2(金)に国連「表現の自由」特別報告者デビッド・ケイ氏を迎えて衆議院第2議員会館で院内集会を行いました。
動画 https://www.youtube.com/watch?v=6fPq9tF5YSI
・認定NPO法人 ヒューマンライツ・ナウによる報告
以下、動画の内容を簡単にまとめました。
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まず国連人権理事会ならびに国連特別報告者について説明したい。
国連特別報告者は50人いて、国連人権理事会によって任命されている。
自分の仕事は3つある。
1)世界各国の政府と直接意見交換して、表現の自由をどう運用されているか聞く。
2)各国訪問する。去年は日本・タジキスタン・トルコに行った。
3)報告書にまとめる。
日本では、個人のジャーナリスト、メディアの報道の自由が保障されているか調べた。また、ネット上のアクセスについても調査した。
世界的にもジャーナリストへの脅迫が増えている。
去年4月に日本に1週間滞在して調査した。
ご存じとおり、日本は憲法21条で表現の自由を保障している。ネット上の表現の自由、政府を批判する自由が守られている。
しかし、どんな民主主義の国であっても、それを守るために努力する必要がある。権利が守られているからこそ報告書にまとめることが出来た。
まず報道の独立性について。調査報道をすることによって1人も逮捕されたことはない。しかしメディアの独立性が危機に瀕している。
解決策としては、テレビ・放送局の規制機関を独立にすることだ。
ほとんどの日本人は知らないことだが、戦後直後、日本には独立した報道規制機関があったが、日本が独立した際に郵政省(総務省)の管轄になった。報道の規制の機関は独立していないといけない。
報道は総務省の管轄にある。また、ジャーナリストが連帯していない。それらにより、政府による圧力に対して独立した報道を難しくさせていると複数のジャーナリストから聞き取った。
以下会場からの質問と答え
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・秘密保護法について、どの点を改善させるべきと思っているか
→前任者のフランク・ラ・ルー氏と懸念を共有している。
1)内部告発者することが難しくなる
2)ジャーナリスト 津波・地震・原発事故・国家安全保障報道が萎縮
国際的な人権法に違反してはいけない。情報へのアクセス権があることで、投票に使えるし、報道も出来る。民主主義の根幹である。
先日秘密保護法に関するガイドラインが制定され、少しはマシになったと思っている。これを法律として制定されないと濫用の危険性がある。
・どのジャーナリストと会ったのか、どのような基準で決めたのか
→右から左まで広く会った。組織の人からフリーのジャーナリストまで。情報源を守らないといけないので、私からは名前は言えない。
・高市総務大臣の発言について
この大臣に限らず、放送法第4条「中立で無いという理由で放送停止されてしまう」ことについて指摘した。政府から「過去停止したことは無い」という説明。
独立した放送規制機関があれば、政府が嫌うような報道をしても萎縮しなくてよい。
今回は安倍政権について言っているわけでは無く、1950年からある法律を指摘している。民主主義国家なら、私が来なくても改正すべきだったのではないか。
・次はどうするのか
私には権限が無い。私は「国連人権理事会に報告書を提出する」という私の仕事をやった。
今後は日本の政府が、「ナンセンス」というか、改善するか。日本の皆さんが必要だと認識されるのであれば、改善させるべきだ。
他の民主国家で行われている報道の自由やメディア規制について、一般社会で議論すべき。
政府に対する敵意を示したとは受け止めてもらいたくない。報告書は皆さんのもの。
・共謀罪について
共謀罪について私はあまり勉強していない。私は弁護士。知らないことについてコメントは避けたい。
国連特別報告者として法律を分析して人権にどう影響するかを調査する。政府とも対話を重要視している。
政府だけで無く、市民社会もどう考えているかを考えている。
私の意見は個人の意見。無視されることもある。独立した1人の調査委員。国連から報酬をもらっているわけでは無い。
別の国連特別報告者のカナタチさんも同様な立場で調査した。
・安倍首相と親しいジャーナリストが強姦事件を起こし、それがもみ消されたという疑惑について
あまりよく知らないが、公共の利益になるのならもっと広く報道べきではないか。
時間が無くてごめんなさい。質問があればツイッターで質問して欲しい。
https://twitter.com/davidakaye
日本の多くの皆さんが、国連人権理事会で大きなことが起こっていると思っていると思う。しかし、皆さんのコミュニティで上記について問題視することが重要だ。
国連は同じ価値観を共有している。
なお、北朝鮮に関する報告書を提出した国連特別報告者は日本政府から賞を受けている。
民主主義社会をどう成熟させるべきか。権利や表現の自由が脅かされることが無いようにするよう、ともにがんばりましょう。
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なお、高市総務大臣は17/6/2に国連特別報告者の報告書に関して受け止めを記者会見で発表しています。
平成29年6月2日 総務省 高市総務大臣閣議後記者会見の概要
「表現の自由」に関する報告書案の公表に対する受け止め
http://www.soumu.go.jp/menu_news/kaiken/01koho01_02000592.html
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2017年6月中旬に開催される国連人権理事会に働きかけを行うため、英国在住の国際人権基準の研究者である藤田早苗さんは再々度ジュネーブを訪問される予定です。
「日本の表現の自由を伝える会」は日本・ジュネーブへの交通費のカンパ50万円を呼びかけています。
17/6/1現在、54名の方から353,180円のご支援を頂いております。ありがとうございます。
https://hyogen-tsutaeru.jimdo.com/