17/6/9(金)18時- いわゆる共謀罪に関する法案に反対する国際シンポジウムが行われ、国連特別報告者のカナタチ氏が日弁連シンポにスカイプで参加しました。
シンポ案内
https://www.nichibenren.or.jp/event/year/2017/170609_2.html
・動画 20170609 UPLAN ジョセフ・カナタチ(Joseph Cannataci)氏(国連人権理事会特別報告者)
いわゆる共謀罪に関する法案に反対する国際シンポジウム
以下まとめです。
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はじめに挨拶
吉岡浩介弁護士:現在参議院で議論中。来週かもしれないという緊迫状況
監視社会になる。市民の自由が侵害される。
廃案をもとめて全単位会に働きかけ
そんな中、国連特別報告者のカナタチ氏が書簡を出した。
カナタチ氏はマルタ共和国出身。情報法やプライバシー法が専門。
現在はプライバシーの権利特別報告者
特別報告者とは国連人権理事会から任命、地域別やテーマ別のものがある。
ここからは海渡雄一弁護士が聞き役 カナタチさんとスカイプでつないでいる。
カナタチ:このような機会を作ってくれてありがとう。
実際にそちらにうかがえればよいが、テクノロジーを使って行う。
海渡 :会場には多くの参加者並びに報道機関、さらに国会議員も来ている
カナタチ:光栄に思います。長く実のある対話の最初になって欲しい。
来られなかった方とも話をしたい。
海渡 :最初の質問 日本の共謀罪はどういうきっかけで興味を持たれたのか
カナタチ:もともと日本のプライバシーに関して関心を持ってきた。
2年前に出した本で日本のことについて2章をさいていた。
今年の1月に日本の「自由人権協会」から10月に東京に来るよう招待された。
そのためスピーチの準備を始めていた。
日本ならびに全世界のプライバシーについて30年以上も見てきた。
今年3月に共謀罪が国会に提出された。
これまでマネーロンダリングに関する条約に関わってきた。
日本人の同僚に会うたびに「カナタチさん、共謀罪は知っていますか」と聞かれた。
4月の初め 日本の友人に対して非公式の翻訳を送って欲しいと依頼した。
質問項目のリストを日本の5人の弁護士に別々に送った。
回答はみんな同じだった。
日本の弁護士からは、私のやろうとしたことにみんな賛成した。
私は政党には送っていない。今に至るまで何ら関わりを持っていない。
独立した立場で学術的視点から言っている
海渡 :日本政府は「断片的で偏っている情報によっている」と言っているがどう思うか
カナタチ:今までのところ政府は私の質問に取り合っていない。
どこにどう保障措置を取られているのか
監視に関して事前、事後的なもの。
日本政府はプロセスについて抗議しているようだが、事実関係を慎重に調べた上で行った。
提起した問題にきちんと答えること、批判の声にこたえること。
日本政府は「あなたが言ったことは間違っている。保障措置はこうだ」と
言ってくればよいが、いまだに言っていない。
海渡 :政府は「一方的に書簡を出した、説明する機会が無かった」と言っているが
カナタチ:通常はどのようなプロセスを経るものか説明する
このような重要な法案は、通常は十分な時間をもって議論する。
国によってはグリーンペーパーと呼ばれるものを作成する。
アイディアを出し、国民との議論を行う。 通常数ヶ月、ときには1年もおよぶ。
また説明 ホワイトペーパーを作成する また国民側から反応がある。
さらに詳細なものになり議会に提出する。
法案が出来る前に私と相談することもある。
今回日本ではなされませんでした。
今までの経験はこのようなプロセスを経る。ドラフトの段階で招いてくれる国もある。
会議をしたり協議をする。
3月最後の週 国会での議論が始まった。
当初からタイムテーブルが決まっていて、90日かけずに法案を提出するという。
今回は特異なプロセス。
通常のプロセスを経ると、非公開で政府と接触するとか、非公開で政府と書簡を送る。
書簡は60日あく。そうすると1年ほどかかってしまう。
今回国会の議論が始まっていた。
日本の人々の利益を守るため、最も賢明な方法は公開書簡を送ることだと思った。
書簡で懸念を明らかにすれば、国会議員も知ることになる。
政府には友好的に支援を呼びかけた。
本質的な問題提起に対して答えて欲しい。
最も友好的に友人として話をしたい 髪の毛は真っ白 33年間政府と交渉してきた
欧州の議長を務めてきた。
プライバシー法案についてレビューするのは初めてでは無い。
友人に対して手綱も鐙も使わずに馬に乗ろうとしているようなもの。
友人に落馬の危険があると伝える義務がある。
友人とは日本政府。日本政府に説明の機会を与えなかった理由。
落馬の危険をまず伝えることが重要だ。
海渡 :他の国で協力関係を結ぶ際はどうしているのか。
具体的な状況は説明できないことは承知しているが、差し支えない範囲で
カナタチ:通常のプロセスについて説明する。
どこの段階によるか 法案が成立してしまった場合もある。
通常は非公開の書簡を送る 12ヶ月後など一定期間後に公開。
書簡を送ったら60日間回答の期間を設ける。
政府から回答が来たら書簡を発出する。また60日間回答を待つ。
安倍首相に書簡を送った当時、他2つの国にも書簡を送った。
それは差し迫ったものでは無い。非公開
来週その国に行く。
公開されていないし、議会にも出されていない。
私はその政府にアドバイスする。
立法措置を考えている場合、国連特別報告者と協議相談するのが通常なプロセス。
メールを送ってきて問い合わせるという方法もある。
海渡 :カナタチさんは国連組織犯罪防止条約にも詳しいと聞いている。
他にあるのか、なぜ日本政府が選ばれたのか
カナタチ:歴史を振り返ってみたい。
組織的越境犯罪防止条約は17年前に出来た。
多くの国は10年前に締結した。他国では10-17年前に議論した。
当時「プライバシーに関する特別報告者」役職はなかった。
2015年7月にできて、私は最初の特別報告者。
保障措置について、各国で同じことを言っています。
いくつかの政府というのは、フランス・英国・ドイツ・アメリカ。
アメリカは今後、公式訪問を10日もしないうちに行う。
質問はどこも同じ「どういう保障措置をどこに設けているのか」
日本で考えられている保障措置よりも大きなものが設けられている。
全ての保障措置ができたとしても、障害になるものはないはず。
組織的越境犯罪防止条約を遵守しようとするのなら、
保障措置は条約締結には全く支障は無い。
こういった一連のことは文脈の中で捉えるべき。
日本政府は今回初めてでは無い。
過去3回失敗している。
いまほど圧倒的に議席を占めているわけでは無かった。
プライバシーを考えているのならみんなおかしいと思う。
政府は「オリンピックを開催するから越境組織条約が必要」
しかし奇異に感じる。感情に訴えており。
「テロを防ぐ」というのは感情・人々の恐れに訴えている。
しかもテロ対策条約ならともかく、越境組織犯罪条約だ。
さらに興味深くなった。日本政府「オリンピックが開かれるからテロ防止が必要だ」
それはいいわけという人もいる。
この条約は組織犯罪を防止するもの。薬物、人身売買、マネーロンダリングに関すること。
テロとは関係ない。
日本政府はオリンピックを攻撃する人はどんな人だと考えているのか。
「ヤクザ」がオリンピックを攻撃することを恐れているのか?
ヤクザを取り締まる法律は他にあるのではないか。
この法案を見てみると、277の新しい犯罪を設けるという。
定義が曖昧なモノも。
根拠が適切で無いと見受けられる。
例えるなら、「絵を壁に飾りたい。釘を打ちこむのに巨大なハンマーを使う」ようなもの。
壁そのものが壊れてしまう。
海渡 :人々の監視を強めるにもかかわらず、保障措置がない
カナタチさんは日本の法律制度にどういうものを付け加えるべきと思っているか
カナタチ:今提案されている法案に盛り組むか、別の法律を作るなりしないと、
近代国家の形をとらない。
監視活動に対する監督が必要。
監視活動に対して法的根拠を与える。
共謀しているかどうかは監視下で無いとわからない。
最初に指摘したいことは、大規模な監視活動は許してはならない。
政府は監視してはいけない。
政府ができることは対象を絞った監視。
それには合理的な嫌疑があることが必要。
目的を示した令状を示し、独立した権限を持ったところが監視する必要がある。
警察やインテリジェンスの人が監視をしようと勝手に決めないように。
少なくとも裁判官と同じような人が令状をチェックしないと。
それから保障措置 事後の監督も重要。
警察やインテリジェンスに対して、どのような活動をしたのか、機関を設けないといけない。
警察やインテリジェンスに対して、誰が関わっているのかも含めて。
独立した立場、十分な資源。
裁判官のように身分が保障されている。
そうすることで日本の人に対しても世界の人に対しても、
比例原則に基づいて、民主国家にふさわしくなると主張できる。
このような作業はまだまだ進行中。保障措置がそろっていなくてもよい。
実のある対話が重要。
ヨーロッパ以外の国では手探りで模索している国がたくさんある。
海渡 :カナタチさんは書簡で、法的明確性の原則に基づき
「なにが準備行為となるか曖昧だ」と述べている。
日本政府は、あなたがコメントした法律の翻訳がうまくなかったのでは無いかといっている。
組織犯罪の「共同の目的」 翻訳が一部抜けている。
しかし国会答弁「一度も犯罪を行ったことが無くても、性質が変わったら組織犯罪」といっている。
コメントは変わるか。
カナタチ:法的明確性の原則 重要でロースクールでも時間をかけて説明する。
国内・国際 重要。法の支配の必須。
かなりの確率で予見できないとだめ。執行可能なルールは明確に定義されていないと行けない。
曖昧さがないように。
市民は行動が適法だと認識できる。
国会での議論をみれば、すでに答えが出ている。
法的明確さがない。
森の中で双眼鏡 鳥を探していても「共謀」とされる
私はなっとくいかないし、皆さんもそうだ。
明確で無いといけない。
海渡 :フロアからの質問に移る。
今回の書簡は日本の市民に非常に勇気を与える。
警察を監視するにはどうすればよいか。
カナタチ:私が提案した保障措置に対し、市民として中身を検討してもらいたい。
措置が日本の法律の中に盛り込まれているか問うて欲しい。
入っていなければ、政党メンバー、日弁連、自由人権協会などが集まって、
法案を提案しては。
国会議員に対して法律に盛り込んで欲しいということもできる。
監視に関してドラフトを来年発表する予定。
様々な保障措置を提案するつもりだ。
日本政府に盛り込むように働きかけて欲しい
海渡 :私たちも勉強していきたい
階猛衆院議員からの質問 仮に政府が書簡に答えずに法案が成立した場合、何が出来るのか
カナタチ:そのようなことが起こるという仮定でお話しする。
これまでの日本政府の対応を見れば、大きな驚きとはならない。
法律が通ってしまっても、始まったばかり。引き続きやっていきたい。
日本の人々は民主主義を享受し、基本的人権を享受する権利がある。
国際人権理事会にも報告したい。
人権理事会が設けた特別報告者を尊重して、則って行っていくはず。
国連人権理事会の中心的な役割。
私から人権理事会、国連総会に充てた書簡で言及することになる。
5年、10年で圧力を与える。
丁寧に尊敬の念をもって理性的に。
日本の方からはまもなく100に到達するほどのメールを受け取った。
心配しているのはこれで終わってしまうのか?
これで終わらない。政党、市民組織で法律を変えていく、保障措置を入れていく。
首相は誰でもかわらない。
首相が誰でも私は同じことを申し上げたでしょう。
どんな政権が出来ようとも、このような保障措置が必要。
政府とは実のある対話をしていきたい。
日弁連などともひきつづき連携していきたい
海渡 :今年10月に自由人権協会の招きで来日すると聞いている。
そのとき、まだ共謀罪法案が審議中の状態で迎えたい。
カナタチ:もしこの法案が通ってしまっても、私はがっかりせずに自由人権協会と協議をして
10月のシンポで問いかけていきたい。
どんなことをしていく必要があるか。
テクノロジーが後半が使われる2017年、プライバシーを守るにはどうすればよいか。
スマートフォン、メールは痕跡が残る。
プライバシー保護の強化 憲法レベルでどう対応すべきか
様々な措置を詳細に議論していきたい
監視活動する際の事前の承認、許可、大規模監視の禁止、
合理的な根拠があるとき場合のみ監視、
独立した組織による監視
はじめて日本に来たとき、日本が大好きとなった。
今後も日本を訪れる機会があれば。
いずれ日本に保障措置が盛り込まれたときには一緒に日本酒を飲みたい。
日本語がうまくなりたいのでその点もお手伝いいただきたい。
海渡 :最後の質問
最後に日本の市民にメッセージを
共謀罪どうするか不安
カナタチ:まだ始まったばかり。
終わりの始まりでは無い。
すでに注意深く見なければいけない。
民主主義において常に求められること。
日本の人々と日本政府に対するメッセージは同じ。
何か間違いを犯したことがあっても恥では無い。
間違ったと認めること、認めなくても今後改善すること。
多くの人がメールを送ってきているということを認識すべき。
私は1日3-4時間、日本の方に返信を書いている。
やりがいがあると感じている。
日本政府が対応していない、監視国家になってしまうことを危惧している。
より健全な社会になるようお手伝い
過去50-100年進歩があった。
アメリカ、ヨーロッパ、中国、アフリカの人にも同じ問題が投げられている。
テクノロジーがプライバシーを侵害してしまいがち。
しかし不可能では無い。
かなりの労力とお金がかかるがやる価値がある。
日本の皆さんはどうあるべきか決める権利がある。
自ら決定権を持っている。
辛抱強く働きかけたい
数週間で終わることでは無く、数ヶ月、数年、永続的に関わることかもしれない。
私自身も関わっていこうとしている。
政府がなんと言おうと保障措置を入れたい。
10月に東京に来た際、なるべく多くの人とお会いしたい。
聞いてくれたこの部屋の皆さんに感謝したい。通訳の人にも感謝したい。
海渡 :カナタチさんから大きな勇気を頂いた
民主主義のために力を尽くしたい
本当に励まされる内容だった。
階猛 :お疲れ様でした。
カナタチさんの書簡は読んでいたが、直に話す言葉を目にし、
私たちの活動を応援してくれていることを誇りに思う。
会期末まで国会でもがんばるが、皆さまもお力添えをいただきたい。
民進党の衆院議員 階猛議員でした。
山添拓 :日本共産党の参議院議員
カナタチさんが「始まったばかり」繰り返し言っていたのが印象的。
私たちの社会を私たちで作っていく。
参議院でもがんばっていく。
福島瑞穂議員も最後まで聞いていたが、退出された
本日のまとめを新倉弁護士からお話しを
新倉修 :私の頭も真っ白 苦労したわけでも無いのに。
10分の予定だったが時間が無い。
国連はどういう組織なのか
特別報告者が世界の人権状況を見ていて、侵害が内容に日々活動している
人柄もよくわかった。人権は優しい
政府は、、、あまり政府を批判するなと言われているが、コントラスト。
そもそも特別報告者に協力する義務がある。
日本政府が制約しなくても義務がある
ああいう発言が続いたのは恥ずかしい
「恥ずかしいことは無いんだよ。ごめんねとあやまればよい」
ぜひメールを送っていただければよい。
国連人権理事会 プライバシー サイトからメールが届く
毎日3-4時間かけてメールを書くという大変な人。
カナタチさん 我々は共通した問題に直面
解決策は「対話」→黙ってろ、すっこんでろと言われた。
長年人権活動をやっている人なので、自分の名誉のためでは無く、
人権のために黙っていることは出来なかった。
最後に一言 韓国の映画「弁護人」を思い出した。
国家保安法違反の弁護 結局彼自身が捕まってしまう。
法廷を埋め尽くしたのは60人もの弁護人。
日弁連 もしかしたら共謀罪で捕まったら、日弁連あげて100人、1000人が弁護人になろう。
山下幸夫:今日はありがとう
国連特別報告者 カナタチさんとスカイプでつないだ
市民の皆さんに知ってもらう
日弁連は反対声明を何回も出した。
全ての単位会で反対の会長声明がでている。
今後も最後まで反対していく。
本日370人が参加した。